美術・芸術書、写真集

創業100年を超える老舗菓子店 札幌千秋庵の洋風せんべい「山親爺」。そのテレビCMは、鮭を背負ってスキーに乗るヒグマの親子のアニメーションと「♪でてきた♪でてきた♪やまおやじ〜」というCMソングで、北海道民なら誰もが知るものでした。
2025年に歌手YUKIさんの歌声で26年ぶりにCMが復活し話題を呼んだ一方で、「この愛され続けてきたテレビCMを、よりたくさん人に永く伝え継いでいきたい」と強く感じ、絵本化を企画したのが、出版社・西東社様です。
絵と文は北海道出身の絵本画家・きくちちきさんに依頼。デザイナーの佐々木暁さんとアイワードは、きくちさんの声がけで集まり、北海道に縁がある人たちによるチームで制作がスタートしました。
筆で描いた温かみのある絵とクリアで美しい色彩が特徴のきくちさんの作品は、「輪郭を墨で描いた原画」と「塗りを単色で描いた原画」をデジタル化して重ね、一枚の絵に仕上げる独自の手法です。
この絵本の中では、絵の具ならではの発色や色の重なり、水彩のみずみずしさを印刷で表現するため、刷色はスミ、特色アオ、特色オレンジの3色に加え、透明ニスをアクセントとして使用しています。それにより、光の反射によって、太い墨の線と色の重なりや、雪のきらめきを感じることのできる奥行きのある表現となりました。
用紙は風合いとインキの発色を考慮してデザイナーとともに厳選し、「アヴィオンFハイホワイト」を採用。用紙のマットな質感と油性オフセット印刷ならではのインキのグロス感が調和した、上質な仕上がりとなっています。
装幀にも絵本ならではの山親爺の世界を詰め込みました。「鮭」を背負うヒグマのイラストが特徴の山親爺にちなんで、帯には「色上質紙・サーモン」、見返しとしおりとして作成した小さい3つ折りの商品説明カードには「NTラシャ・べに鮭」を採用。それらの紙に山親爺のヒグマを楽しくちりばめ、白インキで印刷しています。