【本コラムは、2026年2月6日の「社史・経営者伝 札幌展」でご講演いただいた、九州情報大学 中小企業経営研究センター 客員研究員の佐藤俊恵先生にご執筆いただき、全12回で特別連載します。
【第1章:マインドセットの転換(第1回~第4回)】では、社史を「読む価値無し」から「資産」へと再定義し、企業の存在意義(パーパス)が歴史の中でどのように進化していくのか、その本質に迫ります。
【特別連載】社史は企業資産~未来のパーパスを創る歴史の読み解き方~《第2回》
資産を辞書で調べてみると「将来にわたって価値を⽣み続けるもの」とあります。一度だけではなく、価値を生み続けるものが「資産」です。不動産で考えてみると、不動産には利⽤する価値があり、必要に応じて換⾦することもできます。そうした視点で見れば、不動産は価値を持ち続ける「資産」といえます。
企業は、「ヒト・モノ・カネ・情報」といった経営資源を活かして価値を生み出しています。そうした経営資源を資産という視点で捉えるなら、社史もまた、企業の歴史や価値観を伝える情報の蓄積として、将来にわたって価値を生み続ける「資産」になり得ます。
■企業の平均寿命「23.2 年」
企業経営において「⽣き残ること」は、いつの時代も最⼤の課題です。東京商⼯リサーチの調査(2024 年倒産企業の「平均寿命」調査)によると、企業の平均寿命は「23.2年」というデータがあります。⼀般的に、創業から30年を超えれば「⻑寿企業」と呼ばれ、50年を超える企業は全体の1%未満だと⾔われています。
⼀⽅で、⽇本は世界的に⾒ても⻑寿企業が多い国であり、帝国データバンクの調査(2024年全国「⽼舗企業」分析調査)では「100 年企業(⽼舗企業)」が全国に4万5,284 社も存在しています。この「23.2年で消える企業」と「100年続く企業」の違いは、⼀体どこにあるのでしょうか。この違いを考えるうえで、企業が何のために存在するのかという「パーパス」の視点は欠かせません。
■企業を存続させる「志」と「⽬的」
厳しい経営環境の中で30年、あるいは100年を超えて企業を存続させるためには、単に利益を追求するだけでなく、「志」や「⽬的」が明確であることが不可⽋です。
⾃社は何のために存在しているのか、社会にどのような価値を提供するのかという根源的な問いに向き合い続けることで、企業は⾃らの「存在意義(パーパス)」を確認します。そして、そのパーパスは社内の枠を超え、顧客や取引先、地域社会といった多様なステークホルダーを結びつける⼒となるのです。
⾃社のパーパスが何であるかを⾒失わず、時代を超えて共有し続けること。それこそが、長く続く企業であるための絶対条件といえるでしょう。
(第3回へ続く) 2026/5/20更新予定
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[参考文献]
東京商工リサーチ(2025)「2024年 倒産企業の『平均寿命』調査」
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1201208_1527.html
帝国データバンク(2024)「全国『老舗企業』分析調査(2024年)」
https://www.tdb.co.jp/report/economic/20241024_shinise2024/