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公開:2026/07/29

ヤレ紙再生プロジェクト始動!
― 紙をナメてました、ごめんなさいの巻 ―

サブテーマ : その他



【チャレンジ連載】ヤレ紙再生プロジェクト《第1回》 


デザイナーの皆様、そしてアートを愛する皆様、いつもお世話になっております!
アイワードでプリンティングディレクターをしております、美(術)男子の浦有輝です。
 
日々、美しい印刷物を生み出すために色調や紙質と睨めっこしている私たちですが、
印刷工程でどうしても発生してしまうのが「ヤレ紙(損紙)」です。
 
普段はリサイクル業者さんにお渡ししていますが、
「これ、自分たちの手でもう一度『紙』に生まれ変わらせることはできないだろうか?」と思い立ちました。
 
最初はヤレ紙を土に埋めて、トマトでも栽培しようかと思いました。
なぜなら、紙には炭酸カルシウムが含まれているので丈夫な植物が育つのでは!と思ったからです。
しかしAIに相談すると、
「インキには重金属が含まれるので、人間の口に入れるものには使うな」と止められました。
 
それならば、「ヤレ紙を燃やして灰を撒けば作物が育つのではないか!?」と考え
またまたAIに相談したところ、「重金属は燃えても残る、土壌がアルカリ性になって精々アジサイをピンクにするくらいだ」と一瞬で否定されてしまいました。
AIってこんなに辛辣だったっけ……。
 
そんなわけで、とりあえずやっぱり紙は紙に再生して、何かに使ってみようと、見切り発車して無謀にもスタートした「ヤレ紙再生プロジェクト」。
全5回にわたって、私たちの汗と涙と笑いの記録をお届けします。
私たちの無謀なチャレンジにお付き合いいただければ幸いです!

 

■いざ実践!見よう見まねの紙漉き体験

 

 

記念すべき第1回目は、シンプルに「ヤレ紙を水でふやかし、攪拌させて、乾燥させる」という工程に挑みました。

そもそも木から紙をつくる時には、木を煮て攪拌し、色々な薬品を混ぜ、
なんやかんやしてパルプ化した後、サイズ剤や紙力増強剤を入れたり熱をかけて紙を平滑に……と、
様々な工程を経てできあがります。

今回は印刷済みの紙を原料にするので、木から紙を作るよりはラクなはず、と思い挑戦してみることに。

また初回は、塗工されていない「上質紙」のヤレ紙を使います。
塗工紙の材料の中には炭酸カルシウムが含まれていますが、トマトを栽培しないと決心した今、
もうその材料には未練はありませんので(笑)。



さあ、紙を漉くための木枠や網も、ホームセンターで材料を調達して自作してみました。
 

 
「意外といけるんじゃない?」とテンション高めにスタートしたものの、結果は見事なまでの大惨敗。
紙づくりの奥深さを思い知る結果となりました。

 

■失敗から学ぶ、5つの気付き

 
実際にやってみてわかった、紙づくりのリアルな壁をご紹介します。

1. 攪拌不足による「謎のダマダマ物体」の誕生

手作業でふやかした紙を混ぜて、ドリルで攪拌してみたものの、繊維が十分にほぐれず、
平らな紙とはほど遠い「謎の灰色のダマダマな物体」が完成しました。
しかもドリルで攪拌したため作業場にダマダマが飛び散る始末……。

 
 

2. 圧倒的な紙力の弱さ

乾燥させ、アイロンでプレスしたものの、簡単にボロボロと崩れ落ちる……。
どうやったら紙を鍛えられるのだろうか……。

 
 

3. 自作の木枠が悲鳴を上げる

水をたっぷり使うため、手作りした木枠がどんどん水を吸ってグニャリと変形してしまいました。
100均の木じゃダメだ。


 

4. 「紙漉き」という神業

均等な厚さの紙にするためには、水の中で対流を起こしながら繊維を均一に分散させる必要があります。
これが本当に難しい!
油断すると繊維が一部に偏り、分厚い部分と極薄の部分が混在する
アバンギャルドな仕上がりになってしまいました。

 

■次回への挑戦状! 第2回に向けた対策

① 秘密兵器「ミキサー」の導入
ダマダマを撲滅するため、ついに文明の利器(ミキサー)を購入します。
繊維を極限まで細かく粉砕してみせます。
② コート紙への無謀な挑戦
今回は上質紙でしたが、次回はあえて難易度が高そうな「コート紙(塗工紙)」でのテストに踏み切ります。
③ 製本技術の応用!PUR糊で防水加工
木枠の変形を防ぐため、製本工程で余った強靭な「PUR糊」を木枠に塗って防水措置を施してみます。印刷会社ならではのアプローチです!
④ 洗濯糊で紙力向上
ボロボロ崩れる虚弱体質を改善するため、紙に「洗濯糊」を添加して強度を上げる作戦を決行します。

 
そして1回目でとりあえず作ってみた「紙のおにぎり」。
これ、何に使おうか……。
 

 
果たして、私たちはまともな「紙」を生み出すことができるのでしょうか?
次回のレポートも、ぜひ呆れずにご覧ください!

(第2回へ続く)

 



 


[執筆] 浦 有輝 (うら ゆうき)

アイワード東京第二営業部の取締役部長兼、プリンティングディレクター
新卒でアイワードへ入社後画像処理部門で従事したのち、北海道から東京の営業部門へ異動。 新規開拓チームとして美術館の図録などを多く手がけており、毎週北海道と東京を行き来する2拠点生活を20年間続けている。 クライアントには美術館の他に、アパレルメーカー、家具メーカー、デザイン業界、美術に関わる出版社などがある。