2026年8月20日に札幌市教育文化会館で開催した「点字・触知図セミナーin札幌」での講演内容を中心に季刊アイワード別冊を発刊しました。視覚に障がいがある人の行動範囲を広げ、情報保障につなげる「点字・触知図」について、当事者目線で制作を続ける欧文印刷株式会社(東京都文京区)の取り組みを紹介しています。10数年前から本格的に点字・触知図を手掛ける同社の渡辺浩美さん、佐々木薫さん、中村知絵さんに、アイワードが札幌市で初開催したセミナー会場でお話を聞きました。
晴眼者と視覚障がい者が共用して使うことのできるユニバーサルデザインの仕組みや、2024年4月からの障害者差別解消法の改正に伴う民間事業者による「合理的配慮」の提供、情報保障の現状と課題、そして企画から完成に至る制作フローや留意点、東京国立博物館 東洋館でのフロアマップ制作事例などについて詳しく伺いました。
また、点字・触知図の館内ガイドを導入した古代オリエント博物館(東京都豊島区)の教育普及員を務める髙見妙さんへのインタビューも掲載しています。2022年度から開催している「視覚障害者のための展示解説ツアー(ハンズオンツアー)」の反響や、いつ訪れても楽しめる環境づくりを目指して導入した点字・触知図ガイドの活用法、手話解説動画やバーチャルミュージアムを通じた社会包摂への取り組みについて紹介しています。
さらに、点字・触知図の触読校正を担う社会福祉法人桜雲会(東京都新宿区)の甲賀佳子さんと佐藤義裕さんにもお話を伺いました。長年の経験に基づく触読校正のこだわりをはじめ、あらかじめ頭の中に地図を描くことで得られる概念形成や、絵画の触図による「触覚記憶」が広げる美術鑑賞の可能性、そしてソフト面のバリアフリーや当事者の声を反映したオリジナル図書の制作について語っていただきました。
「季刊アイワード」は北の大地で長く取り組みをされている団体や事がらに光をあてる特集と、シリーズコーナー「Book Stories 本づくりのさきにあること」、「北海道・本のある風景」、「ほっかいどうの本」などを柱にして年4回刊行しております。