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Italic
本来の「イタリック体(Italic)」は「イタリア風書体」という意味を持っていました。その名の通りイタリアで使われていた筆記体をも
とに作られた書体で、手書きの文字がもとになっているため、文字が右に傾斜しています。
活字としては 16 世紀初期にイタリアのアルダス・マヌティウスが手掛けたものが最も古く、マヌティウスは活版印刷を確立したヨハネ
ス・グーテンベルク、ローマン体を確立したニコラス・ジェンソンとともに 15 世紀の 3 大印刷者とされています。
現代ではイタリック体と言えば「書体に付属するウェイトの一
つ」というような印象が強いですが、書体がデジタル化する以前
のイタリック体は一つの独立した書体として扱われていました。
その頃のイタリック体はあくまでもイタリア風の筆記体にな
らったものを指しており、単純に文字へ斜体(斜めに変形させた
もの)をかけたものはオブリーク(oblique)と呼んでいました。
書体のデジタル化以降もオブリークの定義は変わりませんが、
イタリック体は「単純に斜体をかけた文字ではなく、イタリック
用に調整を施したもの」とされています。そのため、現在のイタ
リック体は必ずしもイタリアの筆記体にならったデザインとは限
りません。
The Foundation of
European Font
欧文書体の
基礎知識
欧文で書籍などの組版をする場合には必ずイタリック体を備えた
書体を本文に用います。なお、本文中にイタリックを使うケースに
は、主に以下のようなものが挙げられます。
・強調したい語句、または印象に残したい語句
・書籍、雑誌、新聞の名称
・劇や詩のタイトル、美術品などの作品名
・外国語(本文が英語の場合、フランス語などの単語)
・数学記号、音楽記号
・生物学名
なぜこのような書体の使い分けが必要になるのか考えてみましょ
う。例えば、❶の例文を読んでみます。
原文は読みやすく書かれたものなのですが、❶の例文はすべてひ
らがなにしたものです。本当は❷のように書かれた文でした。
❷を見ると決して文が難解なわけではなく、一つの文字種に変換
してしまうだけで読みにくくなってしまうのです。つまり、私たち
が文を読んでいる時には文の中で、文字の種類が切り替わることに
よって、瞬時に単語を予測して読んでいる訳です。
その点、 欧文にはアルファベットしかないので、書体によってそれ
を補うように発展したのではないかと考えられます。ちなみに、大
文字と小文字の使い分けがあるのも同じ理由でしょう。
例えば固有名詞であれば、かっこなどでくくる方法もあります
が、その方法では固有名詞がたくさん出てくる場合に、かっこでく
くられた単語ばかりが並ぶのは見栄えが悪そうです。やはり、書体
を使い分けることによって可読性を向上させるという手法は大発明
ですね。
oblique ←Eurostile LT(オブリーク)
oblique ←News Gothic(オブリーク)
oblique ←Adobe Garamond(イタリック)
oblique ←Helvetica Neue(イタリック)
I saw Star Wars at movie theater.
私は映画館で『スター・ウォーズ』を観ました。
EU R O P E AN
FO NT
SELECTIO N
欧文書体セレクション
ROMAN
ローマンセレクション
Adobe Jenson (アドビ・ジェンソン)/
Garamond (ガラモン)/Galliard (ガリヤード)/
Janson (ジャンソン)/Caslon (カスロン)/
Baskerville (バスカービル)/Didot (ディド)/
Bodoni (ボドニ)/Times Roman (タイムズ・ローマン)/
Palatino (パラティノ)/Minion (ミニヨン)
SANSERIF
サンセリフセレクション
Akzidenz-Grotesk (アクツィデンツ・グロテスク)/
Franklin Gothic (フランクリン・ゴシック)/
Futura (フーツラ)/Gill Sans (ギル・サンズ)/
Helvetica (ヘルベチカ)/Univers (ユニバース)/
Optima (オプティマ)/Eurostile (ユーロスタイル)/
Frutiger (フルティガー)/ITC Stone Sans (ストーン・サンズ)
TRADITIONAL
トラディショナルセレクション
Trajan (トレイジャン)/Lithos (リトス)/
Linoscript (ライノスクリプト)/
Goudy Text (ガウディ・テキスト)/
Snell Roundhand (スネル・ラウンドハンド)
DISPLAY
ディスプレイセレクション
Copperplate Gothic (カッパープレート・ゴシック)/
Hobo (ホーボー)/Rockwell (ロックウェル)/
Brush Script (ブラッシュ・スクリプト)/Mistral (ミストラル)/
Impact (インパクト)
◎書体の紹介順は元になっている活字、もしくは各書体
が発表された年代順となっています。
◎書体名とともに、作られた年数、その書体を手掛けた
デザイナー名を記載しています。
イタリック体
欧文書体を理解する上で欠かすことのできないイタリック体について解説します。
イタリック体とは
イタリック体の分類の変遷
イタリック体の用法
イタリック体の意味を考える
おきゃくさまがけいかくしているじぎょうのぶらんでぃ
んぐにむけ、いんさつぶつのでざいんせいさくをにない
ます。こんせぷとのさくていやてきすと、びじゅあるの
かいはつなどをおてつだいし、ふかかちのたかいしめん
づくりをおこないます。
❶
お客様が計画している事業のブランディングに向け、印
刷物のデザイン制作を担います。コンセプトの策定やテ
キスト、ビジュアルの開発などをお手伝いし、付加価値
の高い誌面づくりを行います。
❷