0 3 6 二つの代表的な書体の他にも ・丸ゴシック体:ゴシック体の角を丸めた書体 ・伝統書体:中国から伝わった篆書体、隷書体、楷書体、行書体、草書体、宋朝体など 江戸時代に作られた江戸文字(勘亭流、寄席文字、相撲文字、籠文字、ひげ文字など) ・教科書体:楷書体を手書きの文字に近づけた書体 ・ディスプレイ体(デザイン書体):ベーシックな書体とは異なる独自のデザインで設計された書体 などがあり、これらの書体を用途に合わせて使い分けることによって、視覚的な効果(見やすさ・ 読みやすさ・ビジュアル)を高めることができます。 ゴシック体は画線部がほぼ均一な太さでデザインされた 書体です。その成り立ちには諸説ありますが、隷書体( 2)が発展する過程で欧文のサンセリフ(3)のデザイ ンを取り入れたのが始まりとも言われています(4)。 かつては漢字で「呉竹」と表記し、「ゴチック体」と呼ば れていました。 明朝体に比べて線が太く、黒みが強いため印刷では古く から見出しなど、紙面で強調したい部分に用いられてきま した。 2 隷書体 中国から伝わった書体の一つ。詳細は P51 に記載。 3 サンセリフ 欧文書体の分類の一つで、セリフ(和文書体におけるうろこ)がな く、文字の線幅がほぼ均一な書体を指す。 (代表的なサンセリフの書体)HelveticaFuturaGill Sans など 4 明治 19 年に大蔵省印刷局が発行した『官報』の見出しに使われ たのが初出であり、明治 20 年代に一般化したという説もある。 和文書体の基礎知識 The Foundation of Japanese Font 主な書体 和文書体の代表的なカテゴリーを挙げるとすれば、明朝体とゴシック体を欠かすことが できません。この他にも長い歴史の中で様々な書体が生まれました。 ゴシック体 その他の書体 永あ アA 明朝体は筆の質感を持った書体で、横画の始めの打ち込 み、終わりのうろこ、縦画のはね、左右のはらいなどがあ ります。元は中国から伝わったもので、明朝体の「明」は 中国の王朝(1)からとったものです。 長文を組んだ時には、行に凹凸が生じることから、視覚 的に文章の流れを掴みやすいという特徴を持っています。 そのため、長時間読んでも目に負担が掛からず、可読性に 優れた書体と言われています。また、国内の印刷物でもっ とも多く使用されている書体です。 1 王朝 王様の政権のこと。違う家系の王家が政権を奪うことによって、新王 朝となる。中国ではかつて「明」の他にも、「秦」、「漢」、「唐」など 様々な王朝が存在した。 明朝体 永あ アA 0 3 7 仮想ボディに対する文字の大きさ(面積)のことです。 本誌 1 号(P67)で詳しく解説しています。 画線部の中心線を骨格と言い、骨格によって生まれる文 字が抱える空間をふところと言います。 ふところを広い設計にすると、文字を大きく見せること ができますが、はらいなどが短くなるため、広がりのない 印象になります。逆にふところを狭くすると、伸びやかな 印象になります。 骨格に付けられた装飾的な要素 です。エレメントは書の筆法に 則ったものであり、手書きの風合 いを感じさせる要素でもあります。 和文書体を 構成する要素 字面 エレメント 骨格 ふところ ふところが広い はらいが短い ふところが狭い はらいが伸びやかに よこ始線 うろこ てん はらいあげ 3 左はらい たて始線 はね かどうろこ まげはね よこはらい そりはね 右はらい