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上海から長崎に活字の技術が伝わる
1522~66 明朝体を使った書物が日本に渡来
1678 明朝体を使った木版本「大蔵経」が出版される
金属活字の黎明期
1869 ウィリアム・ギャンブルの指導のもと、本木昌造が明朝体の活字を開発
1872 長崎新塾出張所・活版製造所(後の東京築地活版製造所)を設立→「築地体」を開発
1882 秀英舎鋳造部製文堂(大日本印刷の前身)設立→「秀英体」を開発
1920 岩田母型製造所(現・イワタ)設立→「岩田明朝体」を開発
1922 モトヤ商店(現・モトヤ)設立→’50 年頃に「モトヤ明朝体」を開発
写真植字の黎明期
1926 石井写真植字機研究所(現・写研)設立→’32 年に「石井太ゴシック」、 ’33 年に「石井中明朝」を開発
1947 晃文堂(現・リョービイマジクス)設立→’58 年に「晃文堂明朝(本明朝)」を開発
1948 写真植字機製作株式会社(現・モリサワ)設立→’60 年に「太明朝 A 1(A 1 明朝)」を開発
電算写植の時代
1962 「タイポス」(グループ・タイポ)明朝体、ゴシック体とは異なる独自の書体として反響を呼ぶ
1973 「ナール」(写研)その後の丸ゴシックの規範を確立した
1974 「見出しゴシック体 MB 101(ゴシック MB 101)」(モリサワ)伝統的なゴシック体
1975 タイプバンク設立(グループ・タイポの林隆男が主宰)
1975 「本蘭明朝」(写研)現代的な字形の明朝体。第二の明朝として本文書体などに広く使用される
1975 「ゴナ」(写研)現代的な字形のゴシック体。 ’80 年代に一世を風靡した
1977 「ナウ」(リョービイマジクス)シリーズの開発をリョービイマジクスがタイプバンクと共同でスタート
1982 「リュウミン」(モリサワ)森川龍文堂活版印刷所の明朝体をベースに復刻、再デザイン
1987 モリサワがアドビと提携し、フォントの共同開発と販売契約を結ぶ
1987 ダイナラブ(現・ダイナコムウェア)設立
1989 モリサワがフォントをオープン化(「リュウミン L-KL」、「中ゴシック BBB」)
1989 字游工房設立(写研から独立した鈴木勉、鳥海修、片田啓一が設立した)
1990 「新ゴシック(新ゴ)」(モリサワ)現代的な字形のゴシック体
1990 「ロダン」(フォントワークス)香港のフォントワークスとデザイナー・佐藤俊泰による共同開発
1992 「マティス」(フォントワークス)香港のフォントワークスとデザイナー・佐藤俊泰による共同開発
1993 「セザンヌ」(フォントワークス)香港のフォントワークスとデザイナー・佐藤俊泰による共同開発
1993 「スーラ」(フォントワークス)香港のフォントワークスが開発した丸ゴシック体
1993 フォントワークスジャパン(現・フォントワークス)設立
1993 「ヒラギノ明朝」(大日本スクリーン製造)字游工房が共同開発
1998 「小塚明朝」(アドビシステムズ)元・モリサワの小塚昌彦が制作統括を務めた
2003 「AXIS Font」(タイププロジェクト)和文のサンセリフ書体
2004 「筑紫明朝」(フォントワークス)元・写研の藤田重信が開発
DTP の時代
【和文書体の歴史】
た の し い
組 版
VOL.3 CONTENTS
36
The Foundation of Japanese Font
和文書体の基礎知識
41
Japanese Font Selection
和文書体セレクション
54
History
なつかしの会社案内からアイワードの本づくりにかける思いを辿る Part 1
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書体
とは……
「字体」
は文字の抽象的なイメージのことを指しま
す。 A さんが書いた「あ」という文字は、 B さんが書いた
「あ」とは厳密に言えば形が異なりますが、これは「同じ字
体を描いた」ことになります。
これに対して、
「字形」
とは字体を具体的な形で示した
もののことを言います。同じ文字でもこのように個人差によ
る筆跡の違いのようなものがある場合、二つの文字は「字形
が異なる」と言えるのです。
書体とはこの字形の方向性を一貫したコンセプトで揃えた
文字の集まりのことを指します。
日本の文字の歴史は中国から伝わった漢字に始まり、それ
らの文字をアレンジすることによって、日本独自のひらがな
やカタカナが生まれることになりました。
16 世紀には同じく中国から、明朝体を使った書物が日本
に渡来します。その後、19 世紀になって初めて日本独自の
金属活字が作られ、これが日本の印刷用書体の歴史の始まり
です。
この時に作られたのが、築地活字と呼ばれるものであり、
その後に続く多くの書体に影響を与えた金属活字です。それ
から印刷の歴史は活版、写植、デジタルを経て、現在は日本
語の書体だけでも数え切れないほどの種類があります。
今号ではこれらの和文書体の歴史とともに、その流れから
書体を見分けるための基礎知識を紹介します。
いろはにほへと
いろはにほへと
築地体をデジタルで覆刻したもの
字体は同じ
字形が異なる
A さんが書いた「あ」
B さんが書いた「あ」