白、最低明度は黒であるということと、前号でご紹介した、色が見えるしくみを思い出してもらうことが必要です。すべての色は、物から反射した光から感じていますが、その光をすべて吸収し、反射しないものが黒、すべてを反射するものを白として認識できます。つまり、明度の高い色は、光を強く反射し、その周りに光が滲み出ているように感じる(「光こう滲しん効果」と言います)ため、膨張して見えるのです。彩度は、色に活発なイメージや落ち着いたイメージをもたらします。高彩度な色は、元気でアクティブな印象となり、低彩度な色は、穏やかでシックな印象になります。また、色相のところで、暖色系とされる色を挙げましたが、これらの色も低彩度になると、涼しげな印象になるなど、色相との組み合わせによっては、さまざまな効果があります。この他に、明度と彩度をひとまとめにして、「色調(
Tone )」とする考え方もあります。色の
3 属性とその効果について、ご紹介しました。冒頭でも述べたように、これらの属性は、色の特徴を掴むうえで、不可欠な要素であり、その特徴をもとに、色を整理することができます。また、配色においては、調和や対比といった組み合わせを作るのに有効な視点の
1 つですから、ぜひとも押さえておきましょう。
どちらも同じ大きさの円なのに、白い円は光滲効果によって膨張して見える
2 つのイラストは、色相を変えず、彩度のみを変化させたもの。
左 (高彩度) は元気な桃太郎、右 (低彩度) はシックな桃太郎という印象
彩度の高い写真。
晴天のような印象
彩度の低い写真。
くもりのような印象
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明 度 差によって大きさが違うように見える
彩 度 差によって印 象が変 化する例 (イラスト )
彩 度 差によって印 象が変 化する例 ( 写 真 )