11 光の知力を得た者たち
17 世紀には、ヨーロッパで光に関する研究が始まり、ケプラー、スネル、ホイヘンスなどの光学研究は、のちにニュートンのスペクトルの発見に結び付くことになります。これらの研究から得られた、光学研究の知識は、カラヴァッジオ、ルーベンス、レンブラント、ヴェラスケスといった画家たちの間でも共有され、これがバロック美術へと繋がるのです。
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4 年には、ニュートンが『光学』を発行し、光による混色実験が行われるようになります。また、この頃の美術家・工芸家たちは、多くの色材の混合を経験することによって、
3 原色を意識するようになっていきました。
ニュートンの定義
「光線には色がなく、それぞれの感覚を引き起こす、ある
種の力と性質があるだけである」
「宇宙にあるすべての色は、光によって構成され、人間の
想像力には左右されない」
ニュートンが行った実験とは
ニュートンは、1666 年にプリズムの実験によって、太
陽光は白色光であり、その白色光は 7 つのスペクトル(赤
橙黄緑青藍菫= Red, Orange, Yellow, Green, Blue, Indigo,
Violet)に分光
*
できることを証明した。
この時にニュートンが行った実験内容は、暗室の壁に小
さな穴を開け、その穴から太陽光を導き入れ、透明なガラ
スでできた三角柱(プリズム)に通す実験である。光がプ
リズムを透過する際に、波長ごとに異なった屈折をするた
め、赤・橙・黄・緑・青・藍・菫(紫)と波長順に並んだ
7 色の光の帯が現れた。
さらに、ニュートンは分光した光を凸レンズで集め、も
との白色光に戻すという実験も行った。この実験によっ
て、太陽光はすべての単色光を含んだ光であり、集めると
再びもとの白い光になるということも証明された。つま
り、太陽光は白色光であり、各々の色光は単色光であると
いうことができる。
*) 異なる波長を含んだ光を赤、橙、黄、緑などの異なる波長に分け
ることを分光といい、単一の波長の色光のことを単色光という。
ニュートンの光の科学
サー・アイザック・ニュートン
(Issac Newton)
1642-1727 イギリス・物理学者